ここのところ、CB400SSに乗るたびに後輪のブレーキ鳴きが気になるようになっていました。
当初は走り出しのときだけ「キーッ」という音がしていたのが、今ではリアブレーキをかける際に必ずといっていいほど音を発する始末です。
さすがに乗っていて恥ずかしいのと、ブレーキ音を周りに響かせるのも迷惑かと判断し整備することにしました。
リアのドラムブレーキを分解清掃
ブレーキ鳴きの原因は車検時の整備を簡単な点検だけで済ませていたことかと思われます。
ブレーキを取り外すのは面倒ですが、この際ですので1回で異音を解消できるよう徹底的に分解清掃(OH)することにします。
※ブレーキのメンテナンスは、このページ以外に整備についての正しい技術と知識が必要です。車両に不具合がある場合は販売店や整備士に相談しましょう。
リアブレーキの分解で必要なもの
作業にあたって、まずはリアホイールからブレーキ一式を取り外すことになりますが、事前にある交換部品の準備が必要でした。
ストッパーアームを固定しているボルトに使う割ピン1本とパネルにブレーキシューを押さえつけている部分にある割ピン2本です。
ただ分解して組み立てるだけでも、この2箇所3本の割ピンは新品に交換しておきたいところ。
特に、ブレーキシューを固定してる部分の割ピンは太さが2.5mmサイズとホームセンターでは探すのが難しいので先に純正品を用意しておくのが望ましいでしょう。
リアホイールからパネルごとブレーキの取り出しが済んだら、涼しい屋内に持ち込んで全てのパーツをバラしていきます。
なお、カムを引き抜く際にはアームとの噛み合わせが分かりやすいようアーム側に青のマーカーで印をつけておきました。
ブレーキシューの角を面取り
ブレーキシューもスプリングの位置関係を確認したあとに取り外します。
ブレーキ鳴き対策としてライニングの面取りがありますが、あまり効果がないのではという声も聞きます。
私もどちらかというと否定派ですが、分解したタイミングで出来る策は取りたいため今回は試しに面取りしておくことにしました。
こんな固そうなものをヤスリなんかで削れるのかと疑問に思いながら鉄工ヤスリを当ててみると面白いようにボロボロ削れてしまいます。
今まで試したことがありませんでしたが、ライニングの面取りは意外に楽です(こんなに柔いから鳴くのかという疑問もあり)。
主要パーツの洗浄
その後、パネル本体やアーム、カムなど錆が出そうにない主要パーツは洗剤を使って水洗いしています。
カムのシューを押し開く部分には古いグリスが固まっていたので、マイナスドライバーなどで削り落としました。
画像は洗浄が終わってからパーツを並べたところですが、この状態でそろっていないものが一つあります。
矢印があるほうのダストシールは、フェルトっぽい材質で出来ていて分解時に床に落としたのを気づいていませんでした。
これがないと元通りに組み上げることができません。
ブレーキの組立てとグリスアップ
洗浄したパーツの乾燥と新しい割ピンの準備ができたらブレーキを組み立てていきます。
ここで、シューを固定してるパネルに埋め込まれたシャフトの部分とカムにはウレアグリスを塗っています。
この2本のシャフトの中間付近に数ミリ幅の浅い溝が彫られているのはグリスを長期間保持するためのものかと思います。
グリスの種類を判断するため参考にしたのはバイクのメンテナンスを解説している市販の書籍ですが、ブレーキシューとカムが当たる部分はブレーキグリスでなくて良さそうです。
4輪のドラムブレーキなどでも可動部へはラバーグリスが使用されたりとブレーキグリスはプレートの接触面など一部分だけなので今回も使うグリスはウレアグリスで充分な気もします。
それでも、プロが整備したあとのドラムブレーキは黒いブレーキグリスがふんだんに使われてるように感じるのは気のせいでしょうか。
そこで今回はブレーキシューの両端のサイドにあたる限られた部分だけブレーキグリスを塗布しておくことにしました。
このブレーキグリスが乾くことが鳴きの原因になっているとしたら逆効果なのですが、しばらくこの状態で様子を見ることにします。
パーツを元通り組み立て
ドラムブレーキの整備を行う際は作業前の状態を画像で記録することにしていますが、それでも戸惑ってしまいがちなのがスプリングのかけ方です。
今回はスプリングをかける工程を専用工具やプライヤー、ペンチなどを使うことなく2つのブレーキシューを交互にクロスさせた状態で手でスプリングをかけてから形を元に戻しパネルに組み込む方法を試してみました。
スプリングをかけるとき力は要りません。その分、片方かければ片方が外れるを何度か繰り返しはしたももののシューをパネルに嵌めてからスプリングを引っ張るのに比べだいぶ楽に組むことが出来ました。
この状態で外側に押し開く形でパネルに装着することになりますが、セットしてからスプリングをかけるよりこのほうが簡単かと思います。
カムとアーム、インジケーターそれぞれの組合せ位置も事前にチェックしていた通りに戻せば完成。
あとは屋外の車体に戻ってブレーキをセットしロッドの調整やペダルの踏み込み具合を確認した後に試走することにします。
ブレーキ鳴き対策整備後の効果
作業の後に10キロほど走り込んでみたところ、ドラムブレーキから出ていた「キーッ」という異音は解消されペダルを踏み込んだ時のブレーキタッチも少しマイルドになったような印象です。
踏めば踏んだだけガツンと効いてくれるのがドラムブレーキの特徴だとすると、シューの面取りによってその辺に効き味が薄れてしまっているのではとの疑問が微かに残ります。
このあと、もうしばらく走り込んでブレーキの当たりが出てから音が全く無くなっていることを期待したいですが、汚れも落としてグリスも新しくなっているので大丈夫なのではと思います。
そんなわけで無事作業は完了しましたが、ブレーキを含めて整備の作業はもう少し時間をかけてじっくり行っても良いかもしれません。
具体的には、必要な部品を調べて予め手配しておくか、または一通り点検した後に必要部品を発注して部品が届くまではタイヤを外したまま放置しておくっくらいの余裕をもって整備にあたるのが安心できるバイクライフのためには丁度よいかもしれません。
特に整備か所がブレーキなどなら慌てて組み上げることがないように気をつけたいものです。