キャブレター式の単気筒エンジンを始動させるときのコツ

キックスタートしかないバイク

バイクや農機具など仕組みが単純な単気筒エンジンをしばらく放置すると、なかなかエンジンがかからず、ひと苦労する場面があります。

こんなとき手っ取り早く簡単にエンジンをスタートさせるにはどうすれば良いのでしょう。

エンジンがかかりやすい状態とは

キャブレター式のエンジン(キックスタートやリコイルスタートを使う単気筒エンジン)が常にかかり易い状態にあることは、概ね次の条件を満たしているものと推測します。

  • フロートチャンバーのガソリンが新鮮である
  • プラグのギャップ調整が適切であり経年劣化がない
  • ジェット類に詰まりがない

他にも、エアフィルターの汚れ、バッテリー点火の場合は電圧不足など他の要因も充分考えられますが、まず疑ってかかるべきはここに上げた3つではないでしょうか。

車両や器具を使わず放置したあとにエンジンがかかりづらいときは、取り扱いに注意しながらキャブのフロートチャンバーから古いガソリンを抜いてみることは効果があるかもしれません。

これを試してもエンジンがかからない場合は次の策を講じてみます。

なお、必死に蹴りまくったり引きまくったりで体力を消耗する前に基本事項をもう一度確認しましょう。

キック操作を誰かに代わってもらう

キックスタートを交代してもらう

バイクや農機具のエンジンは、かからないからと延々とキックアームを蹴りおろしたり、リコイルスターターを連続で引きまくったりしても反応しないことが多くあります。

そんなとき、自分以外の誰かに代わってもらうと意外に始動できたりするものです。

相手が機械なので操作にあたっての相性というのは殆ど期待できませんが、自分で黙々と蹴り続けても何故かプスリとも言わないのがキャブ車です。

ときに引いたチョークを戻してキックするなりしながら誰かに代わりにキックアームを蹴ってもらうのが良いでしょう。

かからないときに、いつまでもチョークを引いているとシリンダー内がガソリンで湿ってしまうとも言われますが、問題はなぜそうなるまで始動できないかです。

自分の経験上、放置してしまった不良個所のないエンジンをかける際に有効なのは、この二人以上で雑談しながら気長に始動操作を繰り返すことです。

わかりやすく言うと、反応しないエンジンは一人で頑張ってもシリンダーに大量に燃料を送ってしまうだけで持久戦での解決が難しいということ。

一人で焦っていると冷静さを失ってキックしまくるだけでエンジンを始動できないことになります。

何度蹴っても反応しないとき

キャブレターのフロートチャンバー内

この中のガソリンが劣化しているとエンジンが始動できない

チャンバー室(フロートチャンバー)のガソリンに劣化が無く、始動操作を何度繰り返してもエンジンがスタートできないときは、いよいよ車両(機械)の不良が疑われます。

点火系のチェック

プラグを外して、シリンダーヘッドとの間で火花が飛ぶかチェックすることで点火系の動作が確認できます。

多くのライダーはこの作業に臨むときモヤモヤを感じることでしょう。「秋までプラグ大丈夫だったのに冬ほったらかしたでけで点火系がダメになるかな?」と・・。

たしかに秋まで順調に使えていたプラグは冬越しただけで劣化することは少ないかと思われますが、単気筒はプラグ1本ですのでシーズン初めに新しくしてしまうのも良いかもしれません。

不動の原因が分からないとき、早めにクリアさせたくて交換してしまう方もいらっしゃるでしょう。

メインジェットが詰まっていないか

燃料が新鮮で、点火系もチェックしたけどエンジンが始動する気配がない。

通常は、ここまで確認したら、あとは素直にバイク屋へ持ち込むのが良いと考えます。

特に、エンジンを動かさずに放置した期間が半年以上に渡り、その間に夏場を含んだ場合はキャブレターのジェット類(メインジェットなど)の目詰まりも疑われます。

キャブレターのメインジェット

茶色のフロートの下に見えるメインジェット

この場合、キャブのオーバーホールが必要で作業に使うガスケット類も揃えることになるので素直にバイク屋さんにお世話になりましょう。

この劣化したガソリンによるキャブレターのトラブルを防ぐには、一般的に長期保管の前にキャブレターからガソリンを抜いてチャンバー室を空にしておくという方法が推奨されます。

オートバイの場合は、冬でも乗りたくてエンジンかけるとかありそうですが、農機具や発電機は長期使用しないときは燃料コックをOFFにしてキャブレターからガソリンを抜いてしまったほうが良いでしょう。

基本を再度繰り返しチェック

それから、シーズン初めに気を付けたいのが始動時の簡単な基本操作に漏れがないか再度チェックしてみましょう。

燃料コックは開いているか、スイッチ位置は適正か、キルスイッチが動作していないか、チョークを引いているか(または引きすぎていなか)、フィルターに詰まりはないか。

待ちに待ったシーズンの到来、通常なら忘れない一連の操作にも抜かりがないかも改めてチェックしましょう。

シーズン初めは気持ちに余裕をもってスタート

キャブレター式のエンジンを扱うには、シーズンの初日に初めてエンジンをかけ、この日必ず乗りたい(使いたい)という焦りを持たないことも大切です。

始動性が悪ければ原因をとことん追求する。または、自分でやってだめだったらバイク店や農機具店に持ち込む覚悟を持ち、気持ちに余裕をもたせておくことが大事です。

時間に余裕のない方などは、少し寒さが残るうちに始動性のチェックを始めてみてはいかがでしょう。

キャブ車との付き合い方

放置したエンジンが始動性を損なうのは、しばらく会わずに放置してしまった友人や恋人を食事に誘っても相手にされないのと似ています。

音信不通の期間が長ければ、すぐに親しく応じて貰えるとは思わないこと、この日に会いたいと予定を立てたら先になんらかの予備のアクションを起こしておけば事は上手く進むことが期待できるでしょう。

しばらく動かさなかったキャブレター式のエンジンも同じです。

この日に乗りたい、この日に動かしたいといった予定をあらかじめ設定し始動のチェックを済ませておくことが大事でしょう。

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