新作のバイクが発表され売り出されると、ネットや雑誌で取り上げられるのは車体のスペックと新しい技術を採用した機能をピックアップする解説、そして実際に試乗した感想などです。
機能美で推される新型バイク
バイクを本格的に楽しむには、まだ寒さが残る季節ですが乗り出しに向けて準備を始めるのは丁度良い時期を迎えたところでしょうか。
真冬の間はバイクに乗らない分、書店などに出向いた際についついバイク雑誌を手に取る機会が多くなります。
そこで多く目にするのは、最新モデルを評価する記事やスペックが近いモデルを比較した特集などです。
中でも気になるのが、新しくモダンなデザインを採用したブレーキやマフラーなどの各パーツです。
ブレーキキャリパーの外装などは今やバイクのドレスアップポイントかと思われるほどの力の入れよう。勿論ただ格好良いだけでなく何処ぞの部品メーカーを採用しただの制動力について云々は語られているようです。
倒立フォークなどは、かつてアンバランスと思われた見た目の不安定感を覆すほどのデザイン。
これら性能アップした機能とデザインをネタに私たちライダーの購入意欲をかき立てるわけです。
かつて、オーリンズサスを純正で採用していたバイクがありましたが、あれこそ正に機能美を売りにしたものでネットや誌面では勿論、バイク屋で実物を拝見した日には涎が滴る思いでした。
メーカーが直接売り込んでいるわけでもないのに、正直こうまでされるとバイク好き機械好きはたまったものではありません。乗り心地やハンドリングなんかは所有してからの課題でしかないでしょう。
そんなバイク誌による「新型バイク欲しいでしょ」攻撃を受けたあとに我がバイクCB400SSと同じ単気筒車のことについてです。
昨年ホンダから待望の単気筒エンジン搭載の新型モデルGB350が発売されました。
発表当初の感想は、「400ccじゃないのね、当然500ccもないのね・・」ですが相対的な評価は「大変良くやってくれました」に尽きます。
排気量の350ccというのは訳あってのことでしょう。
語り尽くされた魅力を所有する優越感
久しぶりに戻ってきた単気筒車へのメディア的な評価は平凡なものでした。
普段乗り、街の乗りが楽しいバイク。程度の話だったと記憶しています。
中型の単気筒バイクの魅力は既にSRで語り尽くされていて、シングルエンジンが何をもって楽しいかを新型車に見いだすのはジャーナリストやライターにとって骨の折れるテーマになることでしょう。
当然、高スペックで新技術を採用し艶のあるパーツの組み合わせはない訳で、街の中を法定速度でトコトコ走る楽しさと体に伝わる鼓動感は実際に乗ってみないと分かりません。
自分の私生活の中に、ピストンを動かす燃焼が確実に乗り手に伝わり、そのマイルドな刺激が継続されることの心地よさは実用して初めて分かるものです。
もちろん、それをツマラナイと感じるライダーも少なくないかもしれませんが、単気筒の魅力に目覚めれば忙しさからの開放感も同時に得られるかもしれません。
ピックアップする最新技術はないけれど、バイクを楽しむ核だけはしっかり備わっている。
それがシングルエンジンというやつです。
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