走ってもタイヤが暖まらなそうなこの季節、実際どうなのか表面温度を計ってみる

置き場所にスペースを取らないバイク

放射冷却により再び冬の寒さが舞い戻った昨日の朝は、いつもと違い寒さを待ちわびた末に訪れた少し変わった感覚の朝でした。

実はバイク乗りとして冬の間うっすらと不思議に感じていた疑問が一つあります。

その疑問というのは、寒い日にバイクに乗るとタイヤが硬いせいか制動時や急に車体を傾けたときに滑る感覚があるのですが、特に気温が一桁以下の日など、こんなに寒けりゃ走り出しに少々気を使ったところでタイヤが温まることはないのではないかというものでした。

とはいっても、バイクから降りた後は早々に屋内に入り込んだ後ぬくぬくと暖かい場所で心地よさに浸れることに安心しきってしまいます。

氷点下の走行でバイクのタイヤは温まるのか検証する

そして、コンディション維持を目的にエンジンをかけ走らせるときになって再びタイヤの温度のことを思い出しては、少しはタイヤも温まるのか、低温下なら全く表面温度は変わることなく冷えたままなのか?答えが分からぬままバイクを走らせることになります。

油温計もマイナス表示

乗り出す前の油温計もマイナス温度

今回は、この冬に感じるバイク乗りのとしての疑問を一つ解決するため、待ちに待った氷点下の朝に走りに出ることになりました。

タイヤが小さい原付バイクで表面温度を測定

タイヤの温度を確認するために走らせることにしたのは原付バイクのエイプ。

普通二輪だと排気量が大きい分タイヤにトルクが伝わるため、摩擦によりある程度温度の上昇は期待できそうに感じます。

その反面、原付だと路面との摩擦も少なそうだし何しろタイヤのサイズも小さく細いため走行風で走れば走るほど逆に冷えるんじゃないかとさえ疑ってしまいます。

そんな検証目的のために朝の7時半に自宅前の道路際まで出してきた空冷原付バイクの油温計の指示値はマイナス方向へ傾いていました。

この日朝の最低気温は-4℃近くまで下がっています。

氷点下の朝に10km走ることでタイヤの温度はどう変化する?

スタート時の走行距離

走行前にオドメーターをチェック

走行前にバイクのオドメーターを確認し約10km走らせて駆動輪であるリアタイヤの表面温度を計ることにします。

温度の測定に使うのは赤外線式の温度計です。昨今では良く見かける感じのものですが、工業用の温度測定機器でコロナ禍で一般的になったものと違い測定できる温度の範囲が広いタイプのものです。

走り出す前は-5.6℃

スタート前のタイヤ表面を計ってみると-5.6℃という低い値。

気温が上がらないうちに早速でかけることにします。

前回の走行時も同じでしたが、冬には原付でも走る前にある程度エンジンを暖機させてやらないと吹け上がりが悪くて調子がよくありません。

エンジンの暖まり具合も様子を見ながら余裕をもって走ることにします。

スタートから1km走行

自宅から約1kmのところでバイクを路肩に寄せて初回の温度測定を試みます。

1km走行で13℃まで上昇

どうせ、さほど暖まってはいないだろうと期待していませんでしたが、なんと「13.0℃」と一気に20℃ちかくも上昇していました。

寒くても原付バイクのタイヤは意外に温まってくれるようです。

その後、5kmまで1kmごとに温度を測定、最終的には10km走って分かったリアタイヤの温度が次の通りです。

走った距離 リアタイヤの温度
0km -5.6℃
1km 13.0℃
2km 19.4℃
3km 19.7℃
4km 22.7℃
5km 23.2℃
10km 23.7℃

5kmから10kmまでは温度を計らず続けて走っています。

路面温度は0.8℃

路面の表面温度は0.8℃

5kmの場所で計った路面の温度は0.8℃でしたが、この日は晴天でしたので場所によってはもっと高い温度だったかもしれません。

氷点下の外気温で10km走行

走行距離が10kmになるころには、ハンドルを握る指先や足のつま先がかじかんでくる寒さでブレーキやクラッチの操作がそろそろ心配なところです。

10km走行後のタイヤ温度は23.7℃

約10km、30分近くかけて走り切った状態で測定したタイヤの表面温度は23.7℃でした。ここからは温度が安定するか動きが緩やかになりそうな感じ。

走行後のオイル温度は55℃

走行後の油温は50℃以上

タイヤは素手で触ってみるとほんのり暖かいですが、かじかんだ手を温めるならエンジン回りの熱すぎない場所を探す方が効率的です(やけど注意)。

原付バイクでこれだけタイヤが暖まるとは意外でしたが簡単に喜ぶわけにもいかなそうです。

もしかしたら、気温が極端に下いのと冬の間圧をチェックしていないのでエアーが足りないことも心配されます。

そうは言っても、氷点下の中(走行中の外気温はー5℃前後だった模様)でこの温度ですから原付でもタイヤは暖まってくれるようです。

また、走っていてる時の感じも、信号待ちの停止中に後輪を覗き込んでも違和感がなかったので極端に空気圧が減っているわけでもなさそうです。

あとで給油ついでにエアーを足しておくことにします。

寒いうちに確認しておきたかったバイクの性能

気温が上がる春以降には、走行時にタイヤの温度が上がるのは乗り終わった後に手で触れるだけで分かります。

この興味をもってタイヤを触る動作は、冬の間はタイヤより走っただけ冷え切ってしまう自分の体を早く温めることが優先され思い起こす余裕さえありません。

冬に滑りやすいのは、乗る機会が減るからタイヤの表面が硬化するからか、それは暖機走行で効果的に温めてやることでいくらか改善されそうなのか実感できないまま春を迎えるライダーも少なくないのではないでしょうか。

今回の測定では、バイクのタイヤは外径が小さく細いものでも走れば温まるということだけは分かりました。

それと、季節を問わずバイクに乗る際には空気圧をマメチェックしておくべきなのもあらためて実感させられました。入れ過ぎちゃうとそれが原因で滑ったりもするので当然その辺も注意が必要なことでしょう。

おすすめ記事

原付バイク冬の走行時油温 外気温が低い走行条件で原付バイクの油温はどう変化するのか