バイクや4輪のMT車で発進などの際に使われる基本的なテクニックに半クラッチがあります。
しかし、この半クラッチの操作は坂道発進や乗り慣れない車種を運転する際に気をつけることを除いて、ほかは意識せずクラッチを積極的に繋ぐ運転のほうが理想的ではないかと感じているところ。
最近では、むしろこうした乗り方で良いんだと確信している部分もあります。
半クラッチは極力省略してよさそうだが?
疑問を感じ始めたのは車やバイクを運転し始めた頃からでした。
半クラッチというのはその名の通り、エンジンの動力を駆動輪に完全に伝えない状態にとどめておく操作です。
覚えなければならない重要なテクニックではあるけれど、概念事態が中途半端というか、どれくらいの加減で何パーセントくらい伝わっているのか初心者には全くわからないしどの程度がベストなのか不明。
最初に違和感を感じたのは教習所
この半クラッチへの煮え切らない疑問を最初に覚えたのは教習所に通っているときからでした。
車だと、回転数を少し上げた状態で半クラッチにして発進する。けどタコメーターばかりに気を取られると危険なので音で判断するんだよ。
当時その様な教えられ方をしたと覚えていますが、微妙な感覚を習得するには同じ車両でベテラン運転手に何度も見本を示してもらわないと感覚が分からなくて当然ではないかと今でも思います。
もっと踏み込んで言うなら、半クラッチといえど言葉の意味通りきっちり半分ではないので本物の半クラッチは実は60%クラッチのことで、運転が超未熟な自分は35%クラッチになっているのではないかといった言語化すらできない疑問が頭にこびりついたまま放置されることに至ったというのが自分のMT経歴なのではと疑っています。
クラッチが壊れたバイクに乗った感想
この半クラッチの概念がつかめない状態は、車やバイクの免許を取得した後もしばらく無意識に引きずることになります。
このモヤモヤが払拭できたのは免許を取得してから1年以上あとのこと。当時同僚が乗っていたバイクが盗難にあったことがきっかけでした。
盗まれた同僚のGSXは、ある日サイレンサーがカットされたエキパイの先に空き缶が突っ込まれた爆音仕様に姿を変えて見つかることになります。
そのバイクをノーマルに戻すためバイク店に持ち込むのを手伝うことになったのですが、夜な夜な騒音をまき散らしたであろうGSXはクラッチが滑りまくってまともに速度を出せない状態でバイク店までの走行がままならないものでした。
このバイクは「やんちゃな音」を立てるために半クラッチを多用しながら暴走を繰り返した結果クラッチ板が消耗して故障に至ったと思われます。
このクラッチが滑るバイクに乗って感じたのは、無駄に半クラッチを多様すればクラッチは簡単に故障してしまうものだと言うことです。
かなり乱雑な扱われ方をしたのは間違いないのですが、この日を境に自分の半クラッチの意識は大きく変わることになりました。
クラッチを丁寧に繋いでも、逆に走り重視で積極的に繋ぎ込んでも所詮クラッチという機構は消耗品でいつかはメンテナンスが必用になるということを思い知ったわけです。
既知のイメージと現実の食い違いが増す半クラッチ
こうした出来事があって、実は35%クラッチかもしれない基本を意識した半クラッチをやめて、坂道発進を除く場面ではクラッチは出来るだけ積極的に早いタイミングで全て繋ぎきる方向へ方針転換することになりました。
それから何年か後に、自分でも4輪用のエンジンオイルを使ったことが直接の原因かもしれないトラブルでバイクを修理に出すことがあったり、また職場の商用バンを他社に貸したら農地で「ぬかるみ」にハマったとかでクラッチが滑った状態で戻ってきたりなどを経験することになります。
こうした一連の体験から導き出されたのは、車両を適正な状態に維持するには半クラッチは控えめのほうが良いのではという見解です。
クラッチ操作は他人の手本を習得しにくい
ことの始まりである教習所での体験に話を戻せば、MT車という微妙なテクニックを要する運転に対して教える側の説明が簡潔すぎるのです。
クラッチ操作に用いられる微妙な加減を知るには、ベストな回転数と動力の伝わり方が具体的に色やレベルゲージで示される手段などがあっても大げさではないと思います。
言葉でどれほど丁寧に説明を受けても、教官の左足(左手)に伝わってる感触など分かりはしません。
そもそも、車なら左足の膝関節やら太腿などを一時的に緊張させる時間があるのは運転姿勢としても不安定。
そんな状態を多用するより、いかに安全かつ早いタイミングで動力を繋ぎきり駆動輪を安定させるかが重要ではと思うのですがいかがなものでしょう。
今更ではありますが、半クラッチの概念は呼び名を含めもっと一般に分かりやすくあって良いと思います。