エンジンが冷えている状態でカチカチ音がするのでバルブクリアランス調整をしてみた【CB400SS】

バルブクリアランス調整の作業中

CB400SSの走行距離が1万kmを超えたあたりのことです。
始動後のアイドリングで「カチカチ」または「キンキン」とも聞こえるような異音がするようになりました。これが良く耳にするタペット音なのか初めて聞く音なのでわかりません。その後2万kmを超えたあたりから暖気が済んだであろうタイミングでもカチカチという異音が聞こえるようになりバルブクリアランスを調整することにしました。

今回行う作業は、タペット調整とも言われるようですがバルブクリアランス調整という言葉もだいぶ定着してきているようです。

バルブクリアランス調整に必要な工具

RSKのシックネスゲージ100MZ

作業のメインとなるバルブクリアランスの測定のためシクネスゲージと呼ばれる工具が必要になります。

私が最初に知識がないままホームセンターで買ったものはリーフの厚みが小刻みでなく大雑把なものだったので、いざ調整する段階で急遽買い直す羽目になりました。この辺は十分注意が必要ですね。

実際の調整に使用したのはRSKの100MZというシクネスゲージです。

他には、タペットアジャスティングホールのキャップを外すのに24mmのメガネレンチとクランク軸を回すために17mmのソケットレンチが必要でクリアランスの調整にはマイナスドライバと10mmのメガネレンチを使用します。
それから、クランクケースカバーのキャップを外すのに10mmと6mmのヘキサゴンレンチが必要でした。

工具だけ見てもイレギュラーなものがあるので並の作業ではない印象です。

調整作業の手順

大まかな作業の流れは、ヘッドカバーについているキャップを外し圧縮上死点を出して4つあるバルブそれぞれに対して調整を行います。

なお、調整に誤りがあればエンジンが回復不可能なダメージを受ける可能性があるのでバイク屋さんに任せるのが無難です。

タンクを外す

タンクを外したCB400SS

バイクの整備を自分でやるようになるとタンクを外す機会が多いのに気が付きます。私の場合、何度繰り返しても面倒に感じています。

タンク外しちゃうと自転車みたいにも見えますね。

タペット調整用のキャップを外す

ヘッドカバーのキャップを外したところ

調整作業を行うためにヘッドカバーに付いている。タペット調整用のカバーを外します。これが緩まないと話になりませんので、ゴミが入るのが気になる場合でも緩めることが出来るか確認しておきます。

写真には撮ってませんが、このキャップには番号(9~12)がついてて排気の右側(9)から時計回りの順番で排気の左(12)まで割り当てられてました。

圧縮上死点を出す

クランク軸を手動で回す

クランクケースカバーの二つのキャップを外し、中央の大きなホールへ17mmのソケットレンチを入れて左へ回転させながら上死点へ合わせます。

オートデコンプを解除するために右へ回転させるとの情報がありますが、定かではないためサービスマニュアルがほしいところです。

圧縮上死点に合わせる

ホールの中の目印にTの刻印を合わせた場所が圧縮上死点になります(排気の上死点と同じ位置で交互に繰り返されるので判別が必要)。

私のメモでは左回転させていったときに勢い良く「クルン」と通り過ぎてしまうタイミングは外してそのまま回転させ、次にTの刻印のところで微調整できるタイミングが来たらゆっくり確実に合わせます(ここで何回か右に回したりしてみましたが疑問が膨らむばかりでおまじない程度にしておきました)。

ちなみにオートデコンプが効いている場合は、そもそも排気の左バルブが開いていてクリアランスの調整ができない状態になるのでわかると思うのですがどうなのでしょう。

クリアランス調整作業

シックネスゲージで測定

圧縮上死点への位置合わせが済んだら、ようやくメインのバルブクリアランス調整を行います。

調整値は、排気側が0.12、吸気側が0.10です(どちらも+-0.02)。

最初に調整作業そのものが必要かどうか見極めるため厚めのリーフを入れてみたら排気の左と吸気の右が0・15を入れても余裕がありました(要調整)。

調整前の数字は

排気側:左0.15以上、右0.13
吸気側:左0.13、右0.15以上
という結果でした。

※シクネスゲージの使い方は必要な数字のリーフがない場合は、薄く細かい数字のものを重ねて必要な数字の厚さのリーフを作り調整に使います。

調整後の数字は次の通り。

排気側:左0・10、右0・10
吸気側:左0・08、右0・09
どうせ開いてくるから基準値の±の範囲内であれば良いかと思って設定しましたが、そういった理屈ではないようでできるだけ基準値の数値にピッタリにしたほうが良いようです。

合わせ方としては、0.13のリーフを使いマイナスドライバ―で調整してからナットを締めていくと0.10のクリアランスで固定されてしまうといった感じです。

マイナスドライバで微調整した後に締めこむと、どうしても誤差が生じるのであらかじめその分を見込んだ厚さのリーフを使用してみました。

この辺は何か職人技みたいなものがありそうです。

調整後のエンジン音を確認する

調整作業が済めば、外したパーツを元通りに組んでいきます。

作業終了後に恐る恐るエンジンをかけてみますが、キックアームがいつもよりスムーズに降り始動も一発でした。

気になっていたカチカチ音はすっかりなくなりましたが、走行してみると少し燃料調整が合っていない感じがしないでもありません。アイドリングや燃調などをいじってる場合はノーマルな状態に戻すよう調整が必要かもしれません。

今回の「カチカチ」や「キンキン」といった音はバルブクリアランスを調整したあとで回復していることから、いわゆるタペット音だったのかもしれません。CB400SSでは他にもカムチェーンテンショナ関連の部品を原因とした異音が多いという情報もあります。

タペット調整をした走行距離

作業時の走行距離は22,256kmでしたが、バルブクリアランスが狂っていたことが異音の原因だとするなら音が気になりだした1万kmを超えのあたりでの調整が無難なのかもしれません。

なお、新車から初回の調整は距離の少ない段階で異音が発生し、その後はある程度長めの間隔でもOKというのを期待していますが甘いかな?

そしてこんな時も作業のしやすさから空冷単気筒エンジンを選んで良かったとしみじみ思うのでした。

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