バイクのユーザー車検は、自分のバイクと向き合う大切な機会で、愛車を検査に通す楽しみがあります。しかし、予約当日に雨が降ると、その計画は一気に苦行へと変わってしまいます。
自走で陸運局に向かうにも視界や安全が心配で、テスター屋も雨が降ってたら立ち寄る気分ではなくなってしますます。
車検場内ではカッパを着ないとずぶ濡れ必至。さらに書類が濡れてしまうリスクも見逃せません。雨の日の車検を避けるための予約変更や、制度改正で可能になった2か月前からの受検など、知っておきたいポイントを実体験を交えて詳しく解説します。
雨の日のバイクユーザー車検は想像以上に過酷
バイクのユーザー車検は、自分で陸運局に出向き検査を受けることになりますが、予約当日に雨が降ると、そのハードルは一気に上がります。
まず何より大変なのは、陸運局まで自走して行かなければならないという点です。
バイクは雨天走行に弱い乗り物ですし、走行中の視界不良や滑りやすい路面など、危険が伴います。特に、車検に向かうバイクは無駄なトラブルを避けたいもの。整備の直後とはいえ、雨の日は走行中の安心感がガクンと落ちるのが現実。
また、個人でトラックを手配してバイクを運ぶ方法もありますが、積載のためのラダーや固定具が必要ですし、慣れていないと相当な手間。雨の日に慌ててこれをやるのは現実的ではないといえるでしょう。
車検場内でもずぶ濡れ必至!カッパ必須の過酷な作業
車検場に到着したとしても、試練は終わりません。バイクの車検は、車検ラインの外で待機(二輪専用だと屋根があることも)したり、検査項目ごとに車体を移動させる必要があるため、どうしても屋外での作業が多くなります。
雨の日はバイクを押して移動するオーナー側も全身カッパ必須かと思いますが、その姿は一度も見たことがないのは地域性なのか、バイクユーザーはツーリング以外にカッパを着ないものなのかナゾです。
仮にカッパを着用したところで、走行風で雨が吹き込み、手や書類がずぶ濡れになりやすいのが現実ではないかと。
実際、私が先週車検を受けた際も、検査終了後に急な土砂降りに見舞われました。その後バイクで来場した人々はずぶ濡れで、バイク屋さんがトラックで運んできたバイクすら、車検場内の入口からラインまで移動する際に結局雨に打たれていました。
特に苦労するのが、書類の扱いです。車検には複数の書類が必要ですが、雨で紙がふやけたり、にじんで読めなくなることも。自分は使いはしなかったもののビニール袋を持参していきました。
雨の日はテスター屋に寄るのも面倒、車検は一発勝負に
バイクユーザーは、車検当日の朝に「テスター屋」と呼ばれる民間の予備検査場で光軸や排ガスの簡易チェックを行い、本番に備えるケースが多いでしょう。ところが、雨の日はこのテスター屋の利用も大きな課題です。
屋根付きのテスター屋もありますが、私の知っている店舗では半分屋外で作業することもあり、濡れた状態で測定するのは頼む側も面倒だしテスター屋側も大変なことでしょう。
このような心配からテスター屋を回避するとなると、陸運局での検査は完全に一発勝負。光軸やブレーキ検査などで落ちれば、そのまま再検査を受けなければならず精神的なプレッシャーが大きくなります。
雨の中の帰宅はさらなるリスクも
検査が無事終わっても、雨の日は帰り道という落とし穴があります。私自身も先週の車検で無事に合格を果たした後、雨が止むのを待ちましたが、いつまで経っても降り止まず結局びしょ濡れで帰宅することになりました。
雨天走行は、バイクそのものにも少なからず影響を及ぼします。例えばスポークホイールを使っているバイク(400cc以上では少数派ですが)は、リムに雨水が侵入しやすく、長期的に見るとサビの原因になります。
また、チェーンやスプロケットに泥水がかかるのも避けたいところ。チェーンの潤滑油が流れ落ちたり、砂利が噛んで消耗を早める恐れがあります。
こうしたメンテナンスリスクを考えると、やはりユーザー車検は晴天の日を選びたいのが本音です。
どうしても雨の日を避けたいなら予約変更を検討
「雨が予報されているから日を改めたい」という場合、予約をキャンセルするのも一つの手です。バイクのユーザー車検は予約制で、地域によっては次の予約枠が数日~数週間先という場合もあります。
ここで気をつけたいのが車検の有効期限です。車検満了ギリギリの日に予約していた場合、別日に振り替えると期限を過ぎてしまう恐れがあります。
この場合、仮ナンバーを取得する必要があり、市役所や区役所での手続きが発生します。
どうしても雨の日を避けたいなら、できるだけ早い段階で日程を組んで車検切れのリスクを避ける工夫も効果が期待できるかもしれません。
そこで目を向けたいのが、2025年4月から始まっている車検満了日の2か月前から継続検査が受検可能なシステム。
車検2か月前からの受検制度で天候リスクを減らせる?
従来は満了日の1か月前からが基本とされていた継続車検ですが、制度変更によって2か月前からの受検が可能になりました。これにより、悪天候のリスクを避けやすくなったのは非常に大きいメリットです。
しかも、2カ月前に受検しても車検満了日は変わらず損することはありません。早めに済ませることで、車検満了直前に雨で慌てるリスクを減らせます。
※制度が変更された理由は別な事情によるものですが、それを便利に利用しようというもの。
たとえば6月末に車検が切れる場合、4月末から受検が可能です。5月だと車検整備ではなくツーリングに出かけたい時期ではありますが天候が安定している時期ではあります。
ただし、連休前後は混雑するので、その辺を考えると雨のリスクはあっても6月はある意味最適なんですけどね。当日降らなければ。
雨の日の車検は避けるに越したことはない
バイクのユーザー車検は、自分の手で愛車を管理する喜びがあり費用を抑えられるメリットがあります。ただし、予約当日に雨が降ると、そのメリットを半減させるかのような大変さが待ち構えています。
雨天での自走は危険ですし、テスター屋をあきらめることで車検場での一発勝負になるのも精神的負担が大きいです。さらに、車検場内の移動や書類の扱いも想像以上に過酷です。
私自身の経験から言えるのは、天候リスクはユーザー車検に挑むモチベーションの強さを大きく左右します。あまりに悪天候が予想されるときは予約変更をするか、そこまででないなら、抑えることができた経費で万全の雨対策するなど工夫ができたらと思います。
車検は2か月前から受検可能(予約は検査日の14日前から)です。今回は雨天に見舞われたことを想定してのテーマでしたが、気持ちに余裕を持たせるという意味でもこの制度を有効に活用したいものです。
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