単気筒に乗ってるけど4気筒のことを深く掘り下げた話をしよう

スズキGSX1100SKATANA

国産バイクメーカーで中型以上の人気車種といえば今でも4気筒エンジン搭載車は外せないことでしょう。

その4気筒エンジンを積んだバイクが人気を支配し続けられる理由は何処にあるのか単気筒乗りの視点から深掘りしてみました。

水冷4気筒への進化と憧れ

昔バイクがこの世に誕生した頃、それは単気筒が当たり前でした。

レシプロエンジンがどういう過程を経てシリンダー数を増やしてきたのか想像するに、速度と回転の安定、効率性を考えれば、どれも単気筒エンジンは劣ってしまうでしょう。

4気筒エンジンは、シングルやツインのエンジンより振動が少なく早く走れます。

そして、ライダーを魅了する理由はそれだけではないでしょう。

KATANAの4気筒エンジン右

4気筒エンジンは機構の複雑さが外見に現れて、最新テクノロジーが満載といった印象を打ち出せます。

これに拍車をかけたのが80年代に進んだ水冷化。ホンダがCBRなんかを出した頃です。

バイクの水冷4気筒化は未知の最新技術とスピードを当時のライダーに突きつけました。

よくよく考えればデザイン、メンテナンス性という面で邪魔なラジエターも当時は車と同じ水冷機構を採用した新しいエンジンが空冷より遙かに魅力的に写ったことでしょう。

この水冷4気筒への憧れと価値観は今でもベテランライダーに顕在しています。

4気筒のここがちょっとなところ

単気筒の心地よさに目覚めると4気筒の欠点ばかりが目に付くようになったりします。

何か誤魔化されているような排気音

KATANAの4気筒エンジン左

4気筒エンジンの排気音はブォーンという小さな燃焼と排気が入り交じった連続音。

ライダー達は、この重低音だったり車種や触媒の種類によっては甲高かったりするこの小刻みな連続音に心が躍ります。

一般的にエンジンの排気音は荒く激しい響きを格好良いと評価する風潮があります。

ただし、この小刻みな排気音はどのシリンダーがどの行程で何の音を発しているのか区別がつきません

中には、何番目のシリンダーが云々と説明してくれるバイク屋さんとかメカニックの方が居ますがが、素人には多気筒のエンジン音が何の音を奏でているのか分かりません。

シリンダーの数が多ければ多いほど、解読は不可能を極め「この重低音がタマラナイ」などと単純な部分だけに酔いしれることになります。

格好良いのは分かるのですが、エンジンの鼓動(燃焼)を感じるという意味では大事な部分を誤魔化されてはいないでしょうか。

メンテナンスの手間と費用

ホンダCB1000SF

シリンダーとピストンが4つだと、キャブレター(現在はFI)が一つでは済まず当然プラグも4つ必要。バルブに至っては大変なことになってしまっています。

トラブルの際も、この4つのうちそれぞれ、どの部分が悪いか判断するために4つ全部ばらしてメンテナンスが基本ですし、部品を交換する際も4つ併せてそっくりが当たり前。

これは、オートバイが世に登場したときには当たり前でなかったことです。

好きで乗ってる分には気分が良いのですが、長年連れ添う相棒としては手間も費用もかかる駄々っ子なのです。

重い車体はフットワークが鈍る

4気筒エンジンは他の仕組みが簡単なエンジンと比較してサイズが大きくなりますが、その他の発生する出力や回転数に見合ったとおりの剛性に優れたフレームが必要になりタイヤサイズも太いものが要求されます。

よって車体の重量は必然的に増します。

重い車体は、走行時に安定感がありライダーをより楽に遠くへ走らせてくれます。

この車体が重くて安定していることは良いことばかりではありません。

細い道路でのUターン、駐輪した場所での取り回しなど、サイズが大きかったり重量がありすぎると小回りや融通が利かない場面というのがバイクを走らせるときにも遭遇することになります。

特に大型バイクの場合、このような小回りが利かないことから生ずる問題に何度か遭遇すると思われますが、長年乗り続ける大型所有者の方は心が広く気にならないか妥協し続けているかのどちらかです。

そして、実際のところどうかは自分で免許を取り大型バイクを所有してみないと分かりません。

デカいバイクを所有する優越感が何よりも勝れば、それはそれで幸いでもあります。

近年見直される単気筒の価値

CB400SSの単気筒エンジン

そんな多くの信者がいる4気筒マシンに対して、近年ではメーカーがポツリポツリ単気筒車を売り出しています。

メーカー側は本気のライダーだけでなく、ライトなユーザーまで想定した場合に排気量の少ないバイクで高回転域の性能を安定させる必要などありません。

昔あった250ccの4気筒バイクなどは、排気量の割に街乗りが難しいバイクでしたが当時そんなことを口にするライダーはいませんでした。

クォーターバイクってのはそんなもんだと思っていたのでしょう。

交差点での信号待ちからの右左折時にも、そこそこ回転を上げてやらないと安定して走れないのは今考えると面倒なバイクです。

それに比べ250のカタナ(旧型の2気筒)なんかは乗り物としては扱いやすいバイクだったと記憶しています。

バイクのエンジンが4気筒であることのメリット

4気筒エンジンについて散々な話を続けたところですが、もちろんメリットも多くあるでしょう。

ホンダBIG1

一番は、同じジャンルの仲間が多くいるということ。

他には見た目がドッシリとして存在感を主張できるなどでしょうか。

それから、単気筒バイクを好んで乗る立場から、あえて褒めさせて頂く部分を上げるとすれば、「4気筒」いわゆるマルチエンジンのバイクは一言で言えば豊富だということに尽きるでしょう。

良い意味でも悪い意味でも豊富です。不足する部分がなくて全部入り、重量感、安定感ありスピードまでも持ってます。

大排気量の4気筒車を手に入れると言うことはライダーにとって満たされた完全体を手にしたことになります。

だけど、バイク乗りはどこか渇いていて十分。

大人でありながら満たされず渇き続ける者には軽いフットワークが要求されるでしょう。

ビックなバイクはその気になれば何時でも買えるし(若干のお財布事情は絡む)今では借りる手段も増えました。

それとは逆に中型以上のバイクのエンジンが空冷であることは個性的な位置づけになりつつあります。

渇いた自分に戻り、欲しがり続ける若さに目覚めたかったら空冷単気筒はいかがでしょう。