フロントブレーキのマスターシリンダーのキャップを見ると良くメンテナンスがされているバイクなのか、そうでないバイクなのかをある程度見分けることができるのではないでしょうか。
どう見てもネジが回りそうにないのがあまり手入れがされてない車両というわけですが、今回はそのマスターシリンダーを分解清掃したときの記録です。
なお、充分な専門知識が必要ですので安全のためバイク屋へ頼むべき作業になります。
分解整備用のパーツを購入する
オーバーホールの作業の準備として、まず交換用のパーツを購入します。
左が実際にブレーキホースに圧をかけるピストンまわりの整備用パーツ「45530-MN9-305」です。右はブレーキフルードのタンク部分に使うダイヤフラム「45520-MG7-006」ですが、ゴム製パーツなのでついでに交換してしまいます。
セットパーツの中身は上の写真の通りで、手元のパーツリストでは含まれていないレバー側のブーツも入っていました。
Cの字形のサークリップは先の細い専用工具(スナップリングプライヤーなど)が必要な部品です。
オーバーホールの作業に入る
細かいパーツが多いので、ハンドルからマスターシリンダーを取り外して屋内に持ち込んみ作業を行うことにしました。
キャリパー側からブレーキフルードを抜いた後にタンク内の残りのフルードもウェスなどで吸い取ります。交換作業の時と同じくバイクの塗装面にフルードが付かないように注意します。
古いものなので点検窓が汚れて曇っています。
このピストンの先についているブーツを外します。
ブーツを取り外すとピストンをシリンダーに固定しているサークリップが見えますが、こちらはスナップリングプライヤーなどの専用工具で取り外します。小さいので、ややコツが要りますが本体はそのまま使用するのでシリンダー部分には傷を付けないよう気を付けて行います。
取り外したピストンとスプリングなどの消耗パーツです。錆などの汚れが目立ちます。
下に新しい交換部品を並べてみました。ゴムパーツの組み込みには向きがあるようなので取り外したものに習って組み込みます。
中央にあるゴム部品の周りには凹みのようなものがありました。
新しいピストンにゴム部品を組み込んだところです。
マスターシリンダーの本体にも汚れがあったので組み立てる前にしっかり清掃しておきます。
あとは取り外したのと逆の手順で組み立てていきます。
レバーとの接触部にはシリコングリスを塗布しておきました。ゴム製のブーツがあるのでリチウム系のグリスやパーツクリーナーの使用は厳禁ですね。
マスターシリンダーの組み立て後にブレーキフルードを入れエア抜きがすんだら、車両を乗る前にブレーキの利き具合を確認します。エア抜きが終了したときのレバーのタッチで確認した後に車体をゆっくり手押しして効き具合を確認してからバイクに跨るようにします。
メンテナンス時期を過ぎていたパーツの汚れ
オーバーホール時の走行距離は19453kmですが、古いバイクなだけに作業直前にはブレーキの戻りが良くないなどの症状が出てしまっていました。
内部の汚れからみても推奨される整備の時期をだいぶ過ぎていたようです。
無事オーバーホールを済ませたフロントブレーキですが、その後しばらくして点検窓の汚れに我慢ができず。タンク別体式のNISSINブレーキマスターシリンダーキット78593(11mm)に交換しています。
NISSINブレーキマスターシリンダー11mm【デイトナ78593】
見た目もカスタム感があって良いので最初から別体式に交換しておけばよかったのですが、今回の純正品オーバーホールも勉強になりました。
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