今、バイクを楽しく乗れているのはその動力がガソリンエンジンだから。
バイクのどこに魅力を感じるかは人それぞれですが、内燃機関を動力として走る乗り物だから楽しめているという人は少なくないことでしょう。
もし急にエンジンバイクが規制されたら
車のEVシフトがまだ進まないなかでは、それほど心配はないと考えますが、もし将来的にガソリンエンジンのバイクが規制(税制的に冷遇など)されるようなことがあって電動式のバイクが主流になったらバイクの楽しさは半減どころではないと考えます。
電気で動くモーターはレシプロエンジンに比べ振動が少なく発熱も抑えることができ何より環境に優しい(消費する場所では・・)という利点があります。
ただし、そこには豪快さや荒々しさというものが一切ありません。スマートすぎるとも言えるでしょうか。
少し極端なたとえ話ですが、道路や屋外での工事で見かける地面に打撃を与えて締めならすものにランマーとかプレートなどという機械があります。
仕事として扱うには、振動が強く音もけたたましいため全く楽しいものではありませんが、あの豪快な衝撃力を使って走り出すことができたら遊園地のアトラクション並に楽しい乗り物にならないでしょうか。
空冷単気筒バイクに感じる楽しさは、まさにこの機械的な荒々しさとと豪快さがタイヤの回転運動に変換でき、かつ乗り物として成り立っているところにあります。
これは大排気量のV型2気筒でも同じでしょう。
この、レシプロエンジンの持つ荒々しさや豪快さは電動モーターによるバイクでは実現できそうにありません。
電気で走る乗り物の良さは、静粛性をもってスムーズに動けることでしょう。
もし、エンジンを動力にするバイクに乗れなくなったら、その電動モーターの特性を土台として別な楽しさや感性を見いださなければならないような気がしてしまいます。
パワーのある電動より50ccバイク
四輪車が電動なら静かで乗り心地が良く感じる。小型のボートが電動でも水上を移動できるのが最大のメリットであって、しかも水面を切る音がダイレクトに受け取れる効果も得られそうです。
それがバイクだと空でも飛ばない限り特にメリットは感じられないのではという思いがあります。
これはもう、最初に内燃機関で動くバイクを体験してしまたことで、その領域からは抜け出せないものがあるということでしょう。
この先、高出力化された電動バイクが最新モデルとして市場に投入されても、道路を豪快に走り抜ける感覚はある意味50ccの原付バイクより劣るかもしれません。
そして選ぶなら高出力の電動バイクより、車体の中心に燃焼による鼓動を感じることができる原付バイクだという気持ちに変化はないと思われます。
電動バイクをいつか受け入れる日
その昔、音楽を楽しむためにはアナログレコードを再生するのが主流な時代がありました。そのレコードは、新しい媒体の登場で見る間にCD置き換わっていった経過があります。
しかし、この記録媒体の進化と移行がスムーズだったのは音楽ファンや一般人の多くがCDの音質に期待したところにあったのではと思います。
この先、電動モーターを搭載したバイクを受け入れるにあたって、期待したいのはスムーズな回転以外の何かしらの電動らしい持ち味でしょう。
私たちは、予想しない変化が急に訪れることがあることを新型コロナの流行で知ることになりました。
このまま、電動バイクがつまらなく感じる存在のままであれば、税制面での差別化などで大半が電動に乗り換えたあとに渋々ということにもなりそうです。
そうした予期せぬというか「あって欲しくない時代の流れ」に乗り遅れないよう電動バイクの新しい魅力を探す好奇心のようなものを育てていかなくてはいけないのかもしれません。
それでも現実を思えば、少数派な存在として取り残されても、どんなに維持費がかかろうと地面を叩いて走り抜ける感覚は唯一無二なのではと今のところは考えてしまいます。
一部のコアな音楽ファンが今でも真空管アンプでアナログレコードを楽しみ続けているように。
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