バイクの特徴を個々のモデル毎に語るとき、レビューとして取り上げられるのは、そのスタイルやエンジン性能、そして乗り心地などである。
こと単気筒車においては、それらの特徴の全てが多気筒のモデルと全く異なると言えるが、それを魅力として語られる場面はそれほど多くはない。
しかし、乗り手がバイクを知り尽くした時、空冷単気筒マシンには選ぶべき理由が存在すると気づくはずである。
空冷単気筒車の特徴
単気筒バイクの特徴はそのエンジンのコンパクトさがもたらすもので次のことがあげられる。
- メンテナンス性に優れている
- 車体を軽量化できる
- バイクとして高い機動性を持つ
これらの特徴は地味ながらも常にライダーを満足させてくれるものと言える。
高いメンテナンス性がもたらす利点
単気筒車は構造が単純であるため構成パーツも少ないことからトラブルの際に故障個所が発見しやすく修理も容易であることが多い。
仕組みが理解できず頭を悩ます場面が少なくて済むのだ。
空冷エンジンの良さ
空冷であることは、それによって余計な機構が省かれていると言って良い。水冷エンジンは、そのパーツをまとうことにより重量が増し、愛車を維持していく上では時にそれが足かせとなる場合がある。
空冷エンジンは、身に装備をまとわない代わりに空冷フィンという造形美を持ち、その機能的デザインはモデルごとの個性でもありバイクの象徴とも言える。
プラグは一つで十分だし冷却水など要らない
多気筒のバイクには、シリンダーとピストンの数だけプラグが必要で、その寿命は数ある分がほぼ同時にやってくる。
それがシングルエンジンなら一つ交換してあげただけで、息を吹き替えしてくれる。
水冷エンジンは長く付き合う過程で、冷却水系のトラブルを避けられない。
経年劣化による冷却水の交換は必ず訪れ、ラジエターパイプの接続部からの漏れ出しなどは通常に想定していたほうが良いほどと言える。
要するに水冷多気筒エンジンは、十分な手間と費用をかけなければ、こちらの愛情に応えてくれないし、時にしょうもない駄々をこねる。
水冷多気筒は知れば知るほど付き合いづらく、その影響は男の実生活に影響を及ぼしかねない。
軽い車体により得られる優れた操作性
バイクが軽くて駄目な理由は割りと少ない。
軽くて困るのは所有感を満たしたいときだけかもしれない。
単気筒の車両は4気筒の車両に比べ、コーナーリングにおけるジャイロ効果の影響が少ないと聞く。
クランク軸は短く、軽量なエンジンに見合う設計で作られたフレームは細い。ホイールもタイヤも幅のない軽量なものを備えている。
その結果、コーナーリングではライダーが思うがまま車体を素直にバンクさせることが可能となる。これは、単気筒がゆえにもたらされる優れた操作性と言って良い。
バイクは、走り出してしまえば重量感をあまり感じのないが、走行中の単気筒バイクはより軽快感があり、曲がる止まるが思いのままなのだ。
機動性に富む車体がライダーに与える自由
軽いバイクの良さを知り腑に落ちるためには、一度大型バイクに乗ってみるのが良い。もちろん経済的な事情が許すならばである。
4気筒車はエンジンそのものが売りである
デカいエンジンに太いタイヤを備えた車体から、これまた大きいマフラーがギラリと生えだしていて、その存在感は間違いなく男心を魅了する。
実際に大型バイクを購入し所有してから数年の間は、その所有感は男を充分満たしてくれる。しかし、大型バイクは趣味性の高い乗り物で、乗ってツーリングへ出かけてナンボである。
そのツーリング先で、ある日気づくことになるだろう。
重く大きなバイクは置き場所を選ぶ
ツーリングは辿り着いた先で、その地の美味いものを食べたくなるものである。そうでなくてもトイレ休憩くらいはするだろう。
大型車の場合、駐輪場がいまいちしっくりこないときがある。まず大型なりの取り回しやすいスペースが必要で、地面は舗装であることが望ましい。
問題は、この要件が少しでも満たされないと駐輪をためらうことになりかねないことだ。
大型乗りのオッサン達は、そんなの気にしてなさそうに見えるが、世のオッサンの中には気持ちのデカいオッサンと、それとは別なタイプのオジサンがいる。
これが、車体の軽い単気筒車両ならば止まりたい場所で止まることができ細い道でも自在に走行し、ときには引き返すことなどが気軽にできて、その結果、美味しいものにありつけたり、いい景色を写真に収めることができたり、はたまた旅の出会いも増えることになる。
空冷単気筒は全ての場面でスタイリッシュ
所有者が走り出したいと思ったとき、常に車体の整備が整っていることは割りと大事なことで、それは車体がコンパクトで軽量であることで容易になる。
重いバイクじゃタイヤ交換などはバイク屋を頼ることになる。
そして、道草のように軽い気持ちで立ち止まり景色を楽しめることもツーリングを楽しめる条件である。
軽い車体なら多少の砂利地も砂も気にはならない。
細身の車体が特徴の単気筒バイクは、外見も機能面もとてもスタイリッシュなのだ。
バイクは大人に自由な時間を与える
大人幸福感は守るべきものの数に比例すると言える。しかし、それは実生活のみの話だ。
所有するバイクにおいて、守るべきもの(エンジンを構成する部品)を多く取り入れすぎてはいけない。それは時に男の自由と開放感を縛ることになる。
軽さは人へ自由な時を与える。守るものはただ一つで良い。
シリンダー一つにピストン一個の組み合わせが至高である。
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